土壌汚染対策法では土壌汚染の基準を定めていますが、油汚染についての基準は無く、環境省が油汚染対策ガイドラインを設けています。この記事では土壌汚染や油汚染の基準、法律、汚染対策の実例や効果的ですぐに取りかかれる対策法を紹介しています。
環境省が行った土壌汚染の調査結果によると、平成21年の法改正以降、調査結果報告件数は年々増加傾向にあります。
この記事では、土壌汚染と油汚染の基準、油汚染が与える環境への影響、油汚染の対策法などを解説します。
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土壌汚染とは、重金属(カドミウム、鉛、銅、水銀など)、有機化合物、農薬、油など人間に有害物質により土壌が汚染された状態のことを言います。
汚染された状態が長期間継続すると、人間の健康被害、生活環境の変化、野生生物などの生態系の異変など広範囲に渡って影響を及ぼします。そのため、特定有害物質によって土壌が汚染されていないか状況を調査し、対策を講じることで国民の健康を保護することを目的として「土壌汚染対策法」が定められ、26の特定有害物質とその基準値が規定されています。
油汚染には「油汚染対策ガイドライン」が規定され、法律上は土壌汚染とは分けて考えられます。
「油汚染対策ガイドライン」では油汚染問題を以下のように定義しています。
『鉱油類を含む土壌に起因して、その土壌が存在する土地において、その土地又はその周辺の土地を使用している 又は使用しようとする者に油臭や油膜による生活環境保全上の支障を生じさせていること』
工場やガソリンスタンド等において、鉱油類の貯蔵施設の腐食や誤った取り扱いなどが原因でガソリン、軽油、重油などが漏洩し、転売や再開発等で顕在化することがあります。
低比重の油の浸透はゆっくりで、地下水面に達すると水面に沿って水平方向に広がりますが、高比重の油は垂直方向への浸透が速いなど、油の性質によって拡散のスピードや方向が違います。
調査を含め迅速に対応することが重要です。
土壌汚染については以下の動画も参考にしてください。
土壌汚染と油汚染の基準値について法律とガイドラインを用いてご紹介します。
土壌汚染対策法では、26の特定有害物質とその基準値が定められています。
「特定有害物質」とは、鉛、ヒ素、トリクロロエチレン、その他の物質(放射性物質は除く)です。
また、土壌汚染による健康リスクを以下の2種類に分け、それぞれに対応した基準値を設けています。
●地下水などを経由して摂取するリスク ※土壌溶出量基準(26物質)
⇒土壌に含まれる有害物質が地下水に溶け出し、その水を摂取することで起こるリスク
●直接摂取するリスク ※土壌含有量基準(9物質)
⇒土壌に含まれる有害物質を直接口や肌から摂取して起こるリスク
主な特定有害物質のそれぞれの基準値は以下の通りです。
特定有害物質の種類 | 土壌溶出基準(mg/L) | 土壌含有量基準(mg/kg) |
クロロエチレン | 0.002以下 | ー |
ベンゼン | 0.01以下 | ー |
カドミウム及びその化合物 | 0.003以下 | 45以下 |
鉛及びその化合物 | 0.01以下 | 150以下 |
ヒ素及びその化合物 | 0.01以下 | 150以下 |
また、環境基本法で定められている環境基準(※)は以下の通りです。
項目 | 環境上の条件 |
カドミウム | 液体1Lにつき0.003mg以下であり、かつ、農用地においては、米1kgにつき0.4mg以下であること |
鉛 | 液体1Lにつき0.01mg以下であること |
六価クロム | 液体1Lにつき0.05mg以下であること |
ヒ素 | 液体1Lにつき0.01mg以下であり、かつ、農用地(田に限る)においては、土壌1kgにつき15mg未満であること |
総水銀 | 液体1Lにつき0.00005mg以下であること |
トリクロロエチレン | 液体1Lにつき0.01mg以下であること |
油汚染については、土壌汚染対策法とは別に環境省が定めた「油汚染対策ガイドライン」があります。
油汚染には具体的な数値基準は無く、油臭や油膜に対する「人の感覚」を基準として調査や対策を行うとしています。
また人の感覚には個人差もあるため、その補完方法としてTPH(Total Petroleum Hydrocarbon)試験があります。
TPH試験では、油汚染問題が感覚的に認められた範囲と認められなかった範囲のそれぞれ数ヶ所ずつ土壌 TPH 濃度を把握し、「油臭・油膜が感覚的に認められなかった場所のTPH濃 度のうち最も高い濃度」を基準に、対策する範囲を検討します。
そのため、調査対象の土地によって基準が変わります。
引用:油汚染対策ガイドライン
TPH分析の方法や調査手順は、以下の記事で詳しく解説しています。
また以下のように、条例やガイドラインを定めている自治体もあります。
東京および近県の自治体が、土壌汚染対策法や油汚染対策ガイドラインにそって独自に定めた条例やガイドラインを紹介します。
都県 | 運用方法 |
東京 | 法律では「国民の健康の保護」として現在に着目していることに対し、都の条例では「将来の世代の生活環境も含めて幅広く保全の対象にする」ことを定めている。 |
神奈川 | 法の対象とならない土地についても同様の義務などを定めている ●かながわの土壌汚染対策 ●神奈川県生活環境の保全等に関する条例 ●土壌汚染の調査及び講ずべき措置に関する指針・同解説 |
埼玉 | 人への健康被害を防止するため、特定有害物質取扱事業者などに土壌や地下水の調査および対策の実施を義務付けている ●埼玉県生活環境保全条例(第3節土壌環境及び地下水質の保全) ●土壌及び地下水の汚染の調査及び対策に関する指針 |
千葉 | 千葉県内の事業者が独自に取り組む際に必要な事項を定めている ●千葉県地質汚染防止対策ガイドラインの解説 ●土壌汚染対策法の手続きと油汚染土壌の適正処理 ●土壌汚染に関する条例 |
油やオイルの流出に関する法律や罰則等をさらに知りたい方は、以下の記事で解説しています。
油汚染の原因とされる鉱物油は、ボイラーの燃料や機械の潤滑油、ガソリンスタンド、自宅の灯油ストーブなど身近な場所で扱われており、不適切な取り扱いは環境や健康、生態系にも影響を及ぼします。
ここでは、油汚染が与える影響について紹介します。
地下水は季節によって水位が上下に変動します。油が土壌に流出すると水位の変動によってヨコ方向に広がり、帯状に汚染されます。
油汚染が広範囲になることで、地下水を生活用水や家畜の飲み水、農業、農作物などに使用している場所では健康被害や生育被害につながりやすくなります。
土壌に油膜が発生すると地中への酸素供給が遮られ、土壌中に生息する微生物は成長を妨げられたり、死滅したりする可能性があります。
また、油臭は強烈な悪臭を放つことがあり、近隣住民などの不快感や体調不良の原因になる可能性もあります。
ガソリンスタンドでは、設備の老朽化により地下の貯蔵タンクから油が漏れ出すなどの例があります。
ガソリンの漏出の影響は地下水や土壌だけでなく、揮発性が高いため引火して火災や爆発の危険性もあります。
また、ガソリンスタンドは油汚染だけでなく、土壌汚染対策法の特定有害物質に指定されている以下の物資による土壌汚染も考えられます。
●ガソリンに含まれる「ベンゼン」
●洗車施設で使用される洗浄剤に含まれる「フッ素及びその化合物」
ただし土壌汚染対策法においてガソリンスタンドは特定施設に該当しないため、土壌汚染調査義務はありません。
自治体によっては条例等により自主調査が義務付けられている場合もあります。
ここでは過去の油汚染・土壌汚染とその対策について事例を紹介します。
実施期間・費用・実施した対策方法
●地下水揚水工法(途中で中止)
●掘削除去
●バイオレメディエーション
汚染概要 | 約40年前に設置された給油取扱所である。 土壌汚染調査のきっかけは、設置年が古いため油漏洩 有無の可能性について概略的に点検したことによる。 |
敷地面積 | 450㎡ |
汚染物質 | 油、ベンゼン |
対策方法 | 給油取扱所の営業が可能な対策工とし て、地下水から油分を直接回収できる地下水揚水工法を選定。 しかし約1年間のモニタリ ング結果から、浄化目標値まで低下させることができず、同工法での浄化完了には数年必要と予想された。 そのため、掘削除去+バイオレメディエーションによ る浄化計画に切り替えた結果、浄化目標値を満たし、工事完了。 |
実施期間・費用 | 地下水揚水工法:約1年間 汚染土壌掘削:約30日 バイオレメディエーション:約150日 |
対策後の使用状況 | 営業継続 |
実施した対策方法:バイオレメディエーション
汚染概要 | 工場の移転に伴い、自主的に汚染調査を実施した結果、土壌および地下水で汚染が見つかった。 |
敷地面積 | 約3,500㎡ |
汚染範囲・汚染物質 | 約800㎡(深度4~8m)、シス₋1,2-ジクロロエチレン |
汚染濃度 | 土壌溶出量(基準値の約20倍)、地下水(基準値の約80倍) |
土壌汚染の発生原因 | 過去に機械洗浄で使用していたトリクロロエチレンの使用場所と汚染場所が一致したため、当時の漏洩が原因と推定。 |
対策方法 | 事業主(土地所有者)が低コストかつ操業中の措置を要望したので、小規模で現場に影響を及ぼさないバイオレメディエーションによる原位置浄化を選定。具体的な方法は、薬剤注入用の井戸を汚染敷地内に施行および薬剤溶解槽を設置。 その後、薬剤溶解槽から注入ポンプで注入井戸に薬剤を注入して浄化を行う。 |
実施期間・費用 | ・工場の操業中に実施注入井戸施行:4日間(土日に施行を実施) ・注入設備設置:1日(休日に実施) ・薬剤注入期間:1.5か月 ・地下水モニタリング:1.5ヶ月の間に3回実施 ・土壌ボーリング調査:1日 ・結果報告作成:2週間 ・総工事期間:約4カ月 ・措置費用:約2,000万円 |
対策後の使用状況 | マンション用地として売却予定 |
(参考:環境省 巻末資料 狭隘な土地における土壌汚染対策の事例)
土壌汚染の規模や投入できる予算、操業中に行うか否か等、さまざまな条件を踏まえて対策方法を検討します。
油汚染対策ガイドラインでは基本的な処理方法として、盛土や舗装、シート被覆、掘削除去、原位置浄化を例に挙げています。
ここでは比較的小規模で安価に行えるケースが多い、原位置浄化の方法を3種類ご紹介します。
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・エンジンオイル・ガソリン・灯油・軽油
・切削油・作動油・潤滑油
・ジェット燃料・ギヤオイル
・原油を含む液状油全般
・植物油・動物油など
スノム土壌NS-1の使用事例は以下を参考にしてください。
スノムについては以下の動画も参考になります。
ホットソイル工法とは、生石灰が水分に反応した際に発熱する原理を利用した方法です。汚染された土壌が熱せられると、水分といっしょに揮発性の高い汚染物質が蒸発して油を処理します。
施工方法は、可搬式密閉型プラントを用い、汚染された土壌と生石灰を投入して撹拌します。揮発した汚染物質は活性炭に吸着され、浄化した土を元に戻します。
【メリット】
・汚染された土壌を搬出する必要がない
・原位置で浄化処理できる
・比較的短期間で浄化できる
【デメリット】
・可搬式密閉型プラントを設置するため広い土地が必要
汚染範囲に応じてプラントを設置するスペースを確保する必要があります。
化学酸化法とは、強力な酸化剤によって、汚染物質を分解し無害化する方法です。
主にフェントン法と過硫酸法の2種類があります。
【フェントン法】
過酸化水素から得られるヒドロキシラジカル(活性酸素の一種)の化学作用によって、有害物質を無外な物質に分解する
【過硫酸法】
過硫酸塩から生じる過硫酸イオンや硫酸ラジカルを利用して、有害物質を分解する
施工方法は、汚染土壌に井戸を設置し、井戸から薬剤を注入して浄化する「注入法」と汚染土壌に薬剤を投入し、混合撹拌機を用いて地中で撹拌する「混錬法」があります。
【メリット】
・有機塩素化合物、石油系炭化水素、各種有機化合物の浄化ができる
・原位置で浄化できる
・化学反応が速く、短期間で浄化できる
・汚染された土壌の浅い層から深い層まで対応できる
・掘削除去に比べて費用が安い場合が多い
【デメリット】
・化学反応が速い代わりに薬剤の寿命は短い
・浄化できない有害物質がある
・化学薬剤をを使用するため、一時的に土壌や地下水に悪影響を及ぼす可能性がある
・化学反応には時間制限があり、時間内に有害物質が触れなければ分解できない
・薬剤に有害物質が触れるように撹拌するのは難しい
・薬剤が浸透しづらい粘土質の土壌では対応できない可能性がある
スノム土壌NS-1の使用方法は以下の通りです。
「スノム土壌NS-1」は、人畜・植物に無害で金属への腐食性もなく、地球環境にも配慮した油土壌専用の再生材です。処理可能な液体は以下の通りです。
・エンジンオイル・ガソリン・灯油・軽油
・切削油・作動油・潤滑油
・ジェット燃料・ギヤオイル
・原油を含む液状油全般
・植物油・動物油など
スノム土壌NS-1の使用事例はこちらを参考にしてください。
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